JBCの規定では「37歳を迎えたボクサーのライセンスは自動的に失効」してしまいます。

しかし免除特例もあります。

現役の王者(世界/OPBF/日本)ならタイトルを失うまで、さらに元王者、世界挑戦経験者、現役の日本ランカーも健康診断で異常がない場合はライセンスの交付を受けられます。
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読売新聞7月28日夕刊から。

2016年8月を最後にプロのリングを離れた高山勝成の場合、37歳の節目を迎える5月12日までに試合を行うことで「元王者」の特例が発効するはずでしたが、予定されていた試合が新型コロナの感染拡大の影響を受けて中止に追い込まれてしまいました。

現役延長を求める嘆願書を提出した高山に、JBCは救済措置を認めます。

復帰の試合はまだ決まっていませんが「思い出作りで戻ってきたわけじゃない」とジュニアフライ級での世界奪取、2階級制覇を目指しています。

東京五輪を目指したアマチュアでの挑戦では、代表の座に手は届きませんでした。

それでも、大きなグローブでより的確にパンチを当てる技術が向上、カットの癖がついていた左まぶたの古傷も癒え「肉体的なダメージも完全に抜けた」とフレッシュな状態で戦える手応えを感じています。

今年3月の「プロ復帰」発表を受けてストロー級10位にランクインしたWBAには、米国をはじめ世界中のメディアが非難しましたが、高山の責任は一片もありません。

スピードと回転力、軽量級らしい機敏さを武器にしてきた37歳が再び世界で躍動できるのか?

残された時間もチャンスも、多くはありません。

一つの敗北で夢は途中で砕け散る可能性が高く、世界挑戦のチャンスはあるとしても1回か2回。

敗北から這い上がる時間も猶予も残されていない高山に、幸運のドアが開かれることを願っています。

正直、良い意味でも悪い意味でも軽量級らしい高山のボクシングは大好きなスタイルではありません。

「4団体のベルトをコンプリート」というのも、野球でいうサイクルヒット的な稀少さはあるものの、完全統一王者でもあるまいし大偉業とは思えません。

ローマン・ゴンザレスに健闘したとはいえ、強豪にはきっちり負けている律儀なボクサーです。

そうはいっても、往生際の悪いアスリートは嫌いじゃありません。大好きです。