健康を維持しながらの減量とリバウンド。

それが理想ですが、実際には井上尚弥らが告白しているように「(脱水症状で)足が痙攣する」ことは。ボクサーの減量では珍しくありません。

適正体重は、まさに個体差があるものの典型ですから、多くの指標は絶対的な意味を持ちません。

それを踏まえながら、ざざっと「指標」を並べると…。

BMI=体重(Kg)÷(身長m)の二乗
例えば…
18.5未満 → 痩せ型
18.5~25 → 普通体重
25以上 → 肥満


標準体重(Kg)=22×(身長m)の二乗
身長150cm → 体重 49.5Kg
身長160cm → 体重 56.3Kg
身長170cm → 体重 63.6Kg 


美容体重=BMIが20となる体重。
身長150cm → 体重 45Kg
身長160cm → 体重 51.2Kg
身長170cm → 体重 58.8Kg 


モデル体重=BMIが19となる体重
身長150cm → 体重 42.8Kg
身長160cm → 体重 48.6Kg
身長170cm → 体重 54.9Kg


それでは、ここでデオンティ・ワイルダーとアンディ・ルイスJr.という、両極端なサンプルをBMIで〝診て〟みましょう。

ワイルダーは身長201㎝の長身ですがタイソン・フューリー第1戦(212.5ポンド=96.4kg)のように100kgを大きく下回る体重で計量することも珍しくありません。

一方のアンディ。身長188㎝と巨人の森では埋もれてしまう小人ですが、アンソニー・ジョシュアとのリマッチではなんと283.7ポンド=128.7kgで体重計を軋ませました。

BMIを当てはめるとワイルダーは「23.86」で、意外かもしれませんが「瘦せ型」ではなく「普通体重」なのです。
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ワイルダーは、幼い頃に川で溺れかけたところをクジラに助けられたそうです。

「信じられないなら信じなくていい。ただし!信じた方がハッピーになれるぜ!」。…おっしゃる通りです。だから私も信じてます、淡水の川にクジラがいたということを!
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ボクサーとしては「瘦せ型」に見えるワイルダーでも、BMIは適正体重とはいえ「重め」。骨皮筋男に見えても、やはり筋肉の塊です。


そして、きっと、軽量級ボクサーは「瘦せ型」だろうなと思いきや、井上尚弥で前日計量(つまりバンタムリミット)のBMIは「19.47」。

ギリギリとはいえ「適正体重」なのです。それで、減量が厳しいということは井上もまた、118ポンドの筋肉の塊ということです。

BMIをボクシングの適正体重と考えるのは愚の骨頂ですが、健康体の目安としては井上は59.9kgがど真ん中。

もし、井上がサッカー選手など無理な減量と無縁のアスリートならフェザー(126ポンド=57.15kg)〜ライト(135ポンド=61.23kg)が 最もスタミナとキレを高次元で結晶できるウエイトレンジと考えられます。

もちろん、この領域に踏み入れるということは相手のタフネスやパワーもバンタムとは桁外れになるわけですが…。
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そして、注目のルイスJr.。真打登場!です。

BMIでは適正体重77.76kgに対してなんと51.24kgオーバー。

BMIは「36.5」で「肥満3度」です↓ 。いや、今度は「肥満4度」を突破して欲しいですね、ここまできたら。
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適正体重とのギャップが+51.24kgって…フライ級より重いやん.…。

BMIで「19.47」の井上、「23.86」のワイルダー、そして「36.5」のルイスJr.が〝同居〟しているスポーツなんて、他に例はありえません。

「アンディさんが特別なだけでボクシングが特別じゃないだろ!」という声も聞こえてきますが、他のスポーツにアンディさんみたいなのは出現しません。

サッカーW杯のフィールドにあんなのが姿を現したら、スタジアムは悲鳴(歓声?)に包まれるでしょう。

ボクシングファンは普通にビールを飲みながら「バタービーンはもう少し産まれるのが遅ければ 世界王者になれたのに」と笑うだけです。