スポーツほど大袈裟な世界はありません。そこには「天才」や「怪物」がゴロゴロいます。

そして「史上最大の番狂わせ」もしょっちゅう起こっています。

最近の日本がらみだけでも、岡崎慎司が所属した英国プレミアリーグ・レスターが2015-16シーズンに優勝したとき「史上最大」の番狂わせと言われました。

ウィリアムヒルのオッズは5000倍、「ネッシー発見=2000倍」や「2017年以前に宇宙人が確認される=1500倍」などの掛け率を遥かに凌駕する〝超常現象〟でした。

やはり2015年、ラグビーW杯で、日本代表の南アフリカ撃破した大番狂わせも「史上最大」と喧伝されました。当時は「ラグビーは最も番狂わせが起きにくいスポーツ。サッカーA代表がW杯優勝するよりも確率は低い」とまで言われました。

「ネッシー」などのオッズはブックメーカーの匙加減一つです。レスターが優勝するよりもネッシー発見や、宇宙人と交信の方がとんでもない〝番狂わせ〟であることは間違いありません。

昨年のラグビーW杯をしっかり堪能した私たちにとって、この楕円形の球技が「最も番狂わせが起きにくい」というのはもはや信用できません。「サッカーW杯で日本優勝」の方が遥にハードルが高い至難の挑戦です。

ボクシングでも「大番狂わせ」が毎年いくつも起きていますが、私にとって最も印象的な UPSET はリアルタイムでテレビ観戦したトーキョー・ショッカーでした。

マイク・タイソンがバスター・ダグラスに打ちのめされてスローモーションのように崩れ落ちた光景は、いくつも予兆があったとはいえ、大きな衝撃でした。

しかし、あの試合ですらオッズは42倍。ネッシーや宇宙人、レスター優勝と比べると二桁も確立が高い、可愛い番狂わせでした。

村田諒太とカネロ・アルバレス。いつ決定の報を聞いても、もはや大きな驚きではない段階に入っています。

この試合はネッシーとか宇宙人のレベルじゃない、まともなオッズになります。

まあ、不利予想は立つでしょうがタイソンvsダグラスほどじゃありません。「トーキョー・マイルド・ショッカー」くらいの番狂わせでしょうか。

相思相愛の村田とカネロは問題ないにしても、長年確執を深めているトップランクとゴールデンボーイ・プロモーションがメガファイトのために握手するのか?は気になります。

トップランクとしては村田の大勝負をどこに持ってくるかは迷っているはずで、カネロ戦は願ってもない巨大なビジネスチャンスです。

米国市場で苦戦が続くDAZNも、ボクシング中継で決め手を欠くESPNも、実現したら今年のEvent Of The Year 間違いなしのメガファイトに消極的であるわけがありません。

村田vsカネロがミドル級の世界戦になると考えている人は少数派でしょう。キャッチウェイトのノンタイトル戦では華がありませんからカネロのWBAスーパーミドル級・セカンド王座に村田が挑戦する形になるのではないでしょうか。

いずれにしても、とんでもないメガファイトです。

今年のEvent Of The Year 決定とともに、もう一つ確実なことはカネロがキャリア初のアウエーのリングに上がるということです。

村田を選んでくれた感謝の気持ちはありますが(正式発表前なのに気が早い?)思いっきりブーイングを浴びせてやりましょう!

さて、カネロ・アルバレスは民間機で来日するのか、それともご自慢のプライベートジェットか。いずれにせよ帰りの機中でカネロ本人は深い悲しみと後悔に沈んでいるはずです。

チームスタッフも誰も声をかけられない状態でしょう。

「まさか、村田があれほど強かっただなんて・・・」。