国家としての体を喪った戦後直下と、精密に法と教育が整備された現在。時代を考慮しないで、凶悪な少年犯罪を語ってはいけません。
********
カネロ・アルバレスほど好き嫌いが分かれるスーパースターは類を見ません。
もちろん、歴史を振り返ると、評価や人気が分かれるスーパースターは珍しくありません。
しかし…。
カシアス・クレイはローマ五輪で金メダルを獲った英雄でしたが、モハメド・アリとなって国家に反逆する犯罪者に。それから真の意味での地球的な英雄に昇華、アリの前で世界は何度も手の平を返しました。
シュガー・レイ・レナードもモントリオール五輪の金メダリストから絵に描いたようにスターダムの階段を駆け上がり、「1対1のリンチ」と言われたマービン・ハグラー戦をカミソリ一枚の判定でものにしたまではリングの英雄でした。しかし、ハグラーとの再戦を固辞し、安易でエゴ剥き出しのメガファイトを繰り広げたレナードはアンチヒーローに堕ちました。
マイク・タイソンは、その社会的教養の低さと人間的な弱さを撒き散らしながら「ソニー・リストンのように誰かに殺されて人生を終える。それもリストン(享年38歳)よりも若くして」とネガティブなダークヒーローの香りを常に漂わせていました。
フロイド・メイウェザーは、ボクシングファンからは尊敬と絶賛の声しか出ない「プリティボーイ」から、退屈極まる「マネー」の暗黒面をかぶってからアンチ人気を基盤とする世にも珍しいスーパースター 像を創り上げてみせました。
ただし、カネロの場合はその誰とも違います。
カネロは、アリのように巨大な敵に真っ向勝負を挑むような「偉大な愚か者」ではありません。 アリやレナードのように金メダルを獲った正真正銘の英雄ではなく、温室で適切な肥料を与えられ栽培された狡猾で計画的なヒーローです。
そして、暗愚なタイソンのように周囲に踊らされ、ボクシングの恐怖に溺れてしまうことはなく、この競技に全身全霊を捧げているようにも見えます。
さらに、メイウェザーのような悪役をセルフ・プロデュースする才能溢れる芸人でもありません。
カネロが達成した「ヘンリー・アームストロング以来の3階級同時保持」は、数字が意味を持たない現代では本当にどうでもいい記録ですが、ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級制覇は、軽量級の「4」とは意味が違います。
アリやレナードと並べることが適切であるかどうかは別にして、カネロがメイウェザーやパッキャオからトーチを受け取った現代を代表するスーパースターであることは誰も否定できません。
私も間違いなくカネロ・アンチの部類ですが、温室栽培と横暴なAサイド契約が必ずしも勝利に結びつかないことは、ここで説明やサンプルをあらためて挙げる必要はないでしょう。
温室栽培が失敗するのを楽しみにしている意地悪な私にとって、カネロは想定外の苦々しい存在であり続けています。
アンチ が「温室」とセットで唾棄し批判する「ドーピング」も、このスポーツにおいては非常に難しい問題です。
犯罪は法律と警察が存在しないと成立しません。
まず、ボクシングには法律(世界的な統括団体)が存在しません。そして、犯罪を強制的に摘発・逮捕する警察(WADAとその下部組織)も存在しません。
ボクシングを統括するのは試合が行われる国や州のコミッションです。ルイス・ネリにJBCが出来ることは「極東の小さな島国への出禁」だけです。
警察も強制的なものではなく、各地域のコミッションが試合の前後に行うドーピング検査だけ。スポーツを知る者なら、笑うしかありません。これでひっかかったら、ただのバカです…でもただのバカがいっぱいいるんです、ボクシングには。
ボクシングでは、WADAに似ているVADAという団体が最も厳しいもので「五輪式の365日24時間のランダムテスト 」を選手個人に文字どおりvoluntary(任意)の有料サービスを提供していますが、資金難もあり「五輪式」は虚構です。
早い段階からVADAの「五輪式」に登録しているマニー・パッキャオは「真夜中にドアを叩かれたことはないし、フィリピンに彼らが来たこともない」と正直に言っちゃってます。
「ランダム」だから真夜中に行かなくても、フィリピンまで飛ばなくてもいいのですが…普通はパッキャオはボクシング界の看板ですから行きますね。よほど資金が乏しいのでしょう。
法律と警察が存在しない無法地帯だから犯罪を犯しても構わないーーもちろんそんな理屈はありません。
しかし、厳格な法律が整備された世界の短距離100mのスプリンターが 犯す「犯罪」と、法律も警察もない世界のボクサーが犯す「犯罪」を同列で語り、同じ重さの罰則を適用するのは大きな間違いです。
ボクサーの犯罪への注意と学習が、スプリンターよりも大きく劣ってしまうのは、本人だけの責任でしょうか?
ネリを糾弾する人は、もっと強烈な矛先をボクシングの構造に向けなければなりません。
井上信者はネリを嫌う前に、カネロやネリを事実上無罪としたネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)に対してNO!と意思表示すべきです。
「教祖様を腐ったラスベガスになんて絶対行かせない」 と。
「最も凶悪なのは NSAC」(VADAの創始者マーガレット・グッドマン)であり、承認団体なのですから。
まともなスポーツとしての体を持たないボクシングを、他のまともなスポーツと同列に考えるのは禁物です。
第一審は「無罪」!
********
カネロ・アルバレスほど好き嫌いが分かれるスーパースターは類を見ません。
もちろん、歴史を振り返ると、評価や人気が分かれるスーパースターは珍しくありません。
しかし…。
カシアス・クレイはローマ五輪で金メダルを獲った英雄でしたが、モハメド・アリとなって国家に反逆する犯罪者に。それから真の意味での地球的な英雄に昇華、アリの前で世界は何度も手の平を返しました。
シュガー・レイ・レナードもモントリオール五輪の金メダリストから絵に描いたようにスターダムの階段を駆け上がり、「1対1のリンチ」と言われたマービン・ハグラー戦をカミソリ一枚の判定でものにしたまではリングの英雄でした。しかし、ハグラーとの再戦を固辞し、安易でエゴ剥き出しのメガファイトを繰り広げたレナードはアンチヒーローに堕ちました。
マイク・タイソンは、その社会的教養の低さと人間的な弱さを撒き散らしながら「ソニー・リストンのように誰かに殺されて人生を終える。それもリストン(享年38歳)よりも若くして」とネガティブなダークヒーローの香りを常に漂わせていました。
フロイド・メイウェザーは、ボクシングファンからは尊敬と絶賛の声しか出ない「プリティボーイ」から、退屈極まる「マネー」の暗黒面をかぶってからアンチ人気を基盤とする世にも珍しいスーパースター 像を創り上げてみせました。
ただし、カネロの場合はその誰とも違います。
カネロは、アリのように巨大な敵に真っ向勝負を挑むような「偉大な愚か者」ではありません。 アリやレナードのように金メダルを獲った正真正銘の英雄ではなく、温室で適切な肥料を与えられ栽培された狡猾で計画的なヒーローです。
そして、暗愚なタイソンのように周囲に踊らされ、ボクシングの恐怖に溺れてしまうことはなく、この競技に全身全霊を捧げているようにも見えます。
さらに、メイウェザーのような悪役をセルフ・プロデュースする才能溢れる芸人でもありません。
カネロが達成した「ヘンリー・アームストロング以来の3階級同時保持」は、数字が意味を持たない現代では本当にどうでもいい記録ですが、ジュニアミドル級からライトヘビー級までの4階級制覇は、軽量級の「4」とは意味が違います。
アリやレナードと並べることが適切であるかどうかは別にして、カネロがメイウェザーやパッキャオからトーチを受け取った現代を代表するスーパースターであることは誰も否定できません。
私も間違いなくカネロ・アンチの部類ですが、温室栽培と横暴なAサイド契約が必ずしも勝利に結びつかないことは、ここで説明やサンプルをあらためて挙げる必要はないでしょう。
温室栽培が失敗するのを楽しみにしている意地悪な私にとって、カネロは想定外の苦々しい存在であり続けています。
アンチ が「温室」とセットで唾棄し批判する「ドーピング」も、このスポーツにおいては非常に難しい問題です。
犯罪は法律と警察が存在しないと成立しません。
まず、ボクシングには法律(世界的な統括団体)が存在しません。そして、犯罪を強制的に摘発・逮捕する警察(WADAとその下部組織)も存在しません。
ボクシングを統括するのは試合が行われる国や州のコミッションです。ルイス・ネリにJBCが出来ることは「極東の小さな島国への出禁」だけです。
警察も強制的なものではなく、各地域のコミッションが試合の前後に行うドーピング検査だけ。スポーツを知る者なら、笑うしかありません。これでひっかかったら、ただのバカです…でもただのバカがいっぱいいるんです、ボクシングには。
ボクシングでは、WADAに似ているVADAという団体が最も厳しいもので「五輪式の365日24時間のランダムテスト 」を選手個人に文字どおりvoluntary(任意)の有料サービスを提供していますが、資金難もあり「五輪式」は虚構です。
早い段階からVADAの「五輪式」に登録しているマニー・パッキャオは「真夜中にドアを叩かれたことはないし、フィリピンに彼らが来たこともない」と正直に言っちゃってます。
「ランダム」だから真夜中に行かなくても、フィリピンまで飛ばなくてもいいのですが…普通はパッキャオはボクシング界の看板ですから行きますね。よほど資金が乏しいのでしょう。
法律と警察が存在しない無法地帯だから犯罪を犯しても構わないーーもちろんそんな理屈はありません。
しかし、厳格な法律が整備された世界の短距離100mのスプリンターが 犯す「犯罪」と、法律も警察もない世界のボクサーが犯す「犯罪」を同列で語り、同じ重さの罰則を適用するのは大きな間違いです。
ボクサーの犯罪への注意と学習が、スプリンターよりも大きく劣ってしまうのは、本人だけの責任でしょうか?
ネリを糾弾する人は、もっと強烈な矛先をボクシングの構造に向けなければなりません。
井上信者はネリを嫌う前に、カネロやネリを事実上無罪としたネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)に対してNO!と意思表示すべきです。
「教祖様を腐ったラスベガスになんて絶対行かせない」 と。
「最も凶悪なのは NSAC」(VADAの創始者マーガレット・グッドマン)であり、承認団体なのですから。
まともなスポーツとしての体を持たないボクシングを、他のまともなスポーツと同列に考えるのは禁物です。
第一審は「無罪」!
コメント
コメント一覧 (3)
本当は「中途半端なアンチドーピングがスポーツの公平性を損なう」というのが正しいです。検査のすり抜け方を知っていて、その為の金や人脈も持っている者が有利、という事ですね。
検査に引っかかった人間を徹底的に人格否定する事で、自分の「アンチドーピング意識の高さ」を示そうとする人間が大勢居て、ウンザリします。
ドーピングはそのスポーツ界全体の構造に根ざした問題であって、個人だけの問題では無いはずなのですが。
フシ穴の眼
がしました
スポーツとしての意義をボクシングに求めるのは、もはや偶像なのでしょうか、悲しいかな。
フシ穴の眼
がしました