ロベイシ・ラミレスの衝撃的な敗北に衝撃を受けたのは本人とトップランクだけではありません。

まー、ボブ・アラムは「また偽物か?しばらく様子を見よう」ぐらいの感じで、全く動じてないでしょうね。

いくつもプロモーションビデオを製作し「史上最高のホープ」を宣伝喧伝していたESPNが必死に応援記事をフォローしています。

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There is No Sugarcoating This Train Wreck. これほどの脱線事故にはもはや慰めの言葉も浮かばない。
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しかし、25歳のラミレスが絶望する必要は全くない。

試合を解説、ラミレスの華々しいデビューを予想していたティモシー・ブラッドリーは「ラミレスだけの責任じゃない。ラミレスは全く準備不足に見えた。コーナーとマネジメントに大きな責任がある」と憤慨している。

歴史を紐解くと、プロデビューで挫折しながら偉大なボクサーに成長した例は枚挙にいとまがない。

①歴代最高のシュガー・レイ・ロビンソンに次ぐPFP2位はヘンリー・アームストロングだが、なんと彼はデビュー戦をラミレスよりも酷い3回KO負けで落としているのだ。

それどころかデビューから5戦で4敗も喫しているのだ。


②ミドル級の連続防衛記録20を持つバーナード・ホプキンスもデビュー戦は、ラミレスと同じ4回判定負け。

オスカー・デラホーヤ、フェリックス・トリニダードを沈めた死刑執行人はエイリアンとなって50歳まで世界のトップで戦い続けた。


ファン・マヌエル・マルケスはマニー・パッキャオと歴史的な4試合を繰り広げた伝説のボクサー。そのマルケスもプロデビュー戦は失格負けで落としているのだ。

軽量級(フェザー)から中量級(ジュニアウェルター)にわたる4階級制覇は歴史上3人しか達成できていない偉業で、ボクシング大国の歴代最高ボクサーの1人である。


④プエルトリコの軽量級シーンで最高選手のウィルフレド・バスケスもラミレスと同じ4回判定負けでプロキャリアをスタートさせたグレート。

バスケスはバンタム、ジュニアフェザー、フェザー級の3階級で覇権を打ち立てた。 


⑤クルーザー級の連続防衛記録13を持つジョニー・ネルソンはデビュー戦から3連敗。

それが英国史上屈指のボクサーに成長、クルーザー級の歴史にその名を刻んだ。

オルランド・サリドのプロデビュー戦もKO負け。

そんなメキシカンがプエルトリコのスーパースター候補ファンマ・ロペスを2度にわたって木っ端微塵に打ち砕き、あのロマチェンコにも唯一の黒星をなすりつけたのだ。


ピピノ・クエバスのデビュー戦は2ラウンドTKO負け。

そんなメキシカンが最もレベルの高いウェルター級に絶対王政を築いたのだ。

現役選手にもプロデビューで敗北を味わったグレートは数多く存在する。


⑧タイの英雄にしてPFPファイターのシーサケット・ソールンビサイはデビューから2試合連続KO負け。

そのシーサケットがPFP1位のローマン・ゴンザレスを2試合連続で撃破。ジュニアバンタム級史上最強の1人になった。


テビン・ファーマーも4回ストップ負けでプロキャリアをスタート。

ファーマーは今、ジュニアライト級の世界王者の1人としてビッグファイトを待っている。


▶︎ESPNのサンプルが9人で中途半端なので、⑩を付け加えます。

木村翔のデビュー戦は1回KO負け。

自らを「うんこ」と卑下した男が、世界軽量級屈指のAサイドであるゾウ・シミンを粉砕すると誰が予想したか。

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私が挙げた木村も含めて10人が10人とも生粋の叩き上げボクサーです。そういえば、マルケス弟も確か初戦KO負けですね。

なんとか救いを見出したいESPNの必死のパッチもわかりますが、10人の中には五輪金はもちろんメダリストすら見当たりません。

上記10人は、世間から見放された落ちこぼれでしたが、咬ませ犬の立場から不断の努力と不撓不屈の精神力で大物を食って食って食いまくってノシ上がったのです。

最初から温室に入れられて、慎重に調理された離乳食すら消化できずに吐き出してしまったラミレスと彼らを同列に語るのは、彼らに失礼です。

せっかくの2連続金ですから、ロマチェンコが失敗したデビュ−2戦目で世界獲得を目指してはいかかがでしょうか?一気に名誉回復できます。ジャーボンタ・デービスあたりで。