先日、WBCはディリアン・ホワイトの薬物検査(UKAD=UK Anti-Dopinが実施)で採取した検体が陽性反応を示す結果が出たことを受け、暫定世界ヘビー級王座と王者デオンテイ・ワイルダーの指名挑戦者としての権利を抹消すると発表しました。
ホワイトは2012年から14年にかけてドーピングによる出場停止処分を受けている〝前科〟持ち。
永久追放で問題ないですね。
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さて、これまでも間歇的に立ち上ってきたマニー・パッキャオのドーピング疑惑です。
エイドリアン・ブローナーに圧勝しても湧いてきませんが、キース・サーマンに勝利を収めた途端に噴き出してくるから面白いものです。
ブローナー戦ではVADAが薬物検査を実施しましたが、サーマン戦ではネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)の検査のみだったーーというのは後付けで、今回もVADAとNSACの二重検査ならこの疑惑騒動が起きなかったかといえば、絶対にそうではありません。
実際、パッキャオはWBCのボクシング・クリーン・プログラムに賛同し、VADAによるオリンピック方式365日24時間のランダム検査に応じているのです。
つまり、サーマン戦個別の試合ではVADAの検査を受け入れていませんでしたが、VADAはいつでもどこでもパッキャオを検査することができたのです。
次の試合はマイキーかダニーか、どっちにしてもガルシア相手になりそうな気配です。そうなるとオッズも予想もパッキャオ有利で動くでしょうから、勝利してもドーピング疑惑は燃え盛りそうにありません。
それでも、エロール・スペンスかテレンス・クロフォードに勝つようだと大炎上間違いなしです。
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さて、今夜はドーピング問題を語るとき絶対に欠かせない正邪の対極に立つ2人、マーガレット・グッドマンとビクター・コンテのご紹介です。
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マーガレット・グッドマンとビクター・コンテ。
ボクシングファンには馴染みのある名前でも、多くのスポーツファンはよく知らないかもしれないません。
グッドマンはネバダ州アスレティックコミッション(NSAC)のドクターとして活躍したのち、VADAを創立して独立しました。
NSAC時代はドーピングはもちろん、リング禍や減量の問題でも貴重な研究成果を残しています。有名な研究には「自分を弱くする減量は絶対にするな。強くなることだけを考えろ」と提唱、特にアジア地域で健康と生命を棄権に曝す過剰な減量が蔓延していることに警鐘を鳴らしました。
このとき、研究対象にされていた1人が当時フライ級で戦っていたマニー・パッキャオです。
「本当のあなたはフェザー級だ」というグッドマンの助言に、パッキャオは積極的に耳を貸さなかったといいます。
そして、ビクター・コンテの名前は多くの人が一度は「バルコ・スキャンダル」というスポーツ界最大の事件の首謀者として耳にしたことがあるはずです。
コンテは1984年、カリフォルニア州ベイエリアのバーリンガムにサプリメントを開発・販売するバルコ社を設立。
合法のサプリメントと違法のステロイドの組み合わせで、運動能力が格段に発達する研究を進め、製品化してしまいます。
2003年に、東京2020で100m優勝候補ジャスティン・ガトリンやマリオン・ジョーンズらを指導していたトレバー・グラハムが良心の呵責に耐えられなくなり、USADAにバルコ社から処方された注射器を匿名で送付したことで、この大犯罪が発覚しました。
バルコスキャンダルは陸上競技だけではなく、MLBのバリー・ボンズやジェイソン・ジアンビら、NFLのビル・ロマノフスキーらスーパースターらも巻き込んで、コンテは禁止薬物の販売とマネーロンダリングの罪で逮捕。
顧客リストの引き渡しなど司法取引に応じたコンテは、懲役4カ月で出所します。
セカンドチャンスの国、アメリカでコンテは再びサプリメントの処方でアスリートから絶大な支持を得ます。特にボクシング界ではマイキー・ガルシアやノニト・ドネアがコンテに心酔。
稀代のドーピング・グルは「今は一切ドーピングには手をつけていない」としながらも「ドーピングが発覚するのは100%ミス。化学物質を体に残すなんてボーンヘッドにもほどがある」と〝完全犯罪〟は可能と爆弾発言も続けています。
パッキャオについても「ドーピングしてても驚きはない。一度も陽性反応を示していないなんて潔白の証拠にならない。ドーピングの基本はフェイズ(段階)をしっかりこなすことだ。私が指導したらどんな検査でも100%クリアできる」と豪語しています。
その段階はかいつまむと「導入期(薬物に体を馴化させる)」でどの程度の量で最も練習効率が上がるかを把握。「ポイント期」でドーピングによって疲れにくく筋肉が大きく超回復する肉体で激しい練習をこなす。「冷却期」で徐々に薬物を抜いて、試合前には体内から全ての化学物質を排出した状態にする。
このフェーズを確実にこなすことで「30世紀の薬物検査でも禁止薬物は発見出来ない。そもそも血液にも尿にもそんな薬物は存在していないのだから」(コンテ)ということです。
ここで、五輪(WADA)が採用している厳格な365日24時間検査が、どうして必要なのか、それでなくてはドーピングは見破れないことがわかるでしょう。
逆にいうと「365日24時間ランダム」を受け入れていないにもかかわらず、ドーピングが発覚したルイス・ネリらは雑魚にもほどがあるということです。
前置きが長くなりましたが、グッドマンとコンテ。
何の共通点もない対極的な2人ですが、米国のミュージックシーンに深い関わりあいがあるんです。
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