日本時間6月9日、ニューヨーク マジソン・スクエア・ガーデン。

ゲンナディ・ゴロフキンvs スティーブ・ロールズ

全てのベルトを失ったGGGの再起戦。

DAZNと結んだ6試合1億ドルとされる大型契約の第1戦。

この大金が原因で、長年連れ添ったアベル・サンチェスと袂を分かち〝クロンク〟の血を継ぐジョナサン・バンクスをトレーナーに迎えるなど心機一転で無名のカナディアンを迎えます。
リングのアイドル、シンシア・コンテのハイテンションはいいですね〜。

ロールズは19戦無敗10KOの北米ミドル級王者。

しかし、KO率は53%とこのクラスのトップファイターとしては物足りない数字。そもそもロールズをトップの1人に数えることに無理がありますが。

もし、MSGで二週続けて大番狂わせが起きるとしたら、それはGGGの内部で何かが変わったからでしょう。

37歳のミドル級は、29歳でヘビー級のアンソニー・ジョシュアとは違います。

若くて英国という巨大なファンベースを持つジョシュアには、これからもチャンスが何度も与えられるでしょう。

しかし、GGGは違います。

環境の一新はカザフスタンのスラッガーに凶と出るのか、吉と出るのか???


⬇︎⬇︎⬇︎不安要素⬇︎⬇︎⬇︎

これまでカネに執着を見せることが少なかったGGGが超高額契約に飛びつき、サンチェスを切ったのは残された時間が少ないことを理解しているからでしょう。

DAZNとの6試合契約。この次、つまり7試合目は考えていないはずです。

しかし、GGGはサンチェスと決別したあともカリフォルニアの高地ビッグベアでトレーニングを積んでいます。

①サンチェスとは何度も条件交渉を重ねた。②決別後もビッグベアから〝下山〟していない。

この2点から読み取れることは、たった一つです。

カネの問題さえなければサンチェスと別れていなかった ーーー ということです。

 GGGは、長い人生を見据えた経済的な意味では正しい選択をしたのかもしれません。

しかし、ボクサーとしてはどうなのでしょうか?しかも、キャリアの最後を迎えるボクサーとしては?



⬆︎⬆︎⬆︎好材料⬆︎⬆︎⬆︎

GGGはカザフスタン人であるがゆえに、高い評価を受けながらも人気が伴いませんでした。

強いけど人気が無い…対戦相手からしたらハイリスク・ローリターン、最悪です。

それゆえに、レベルの低い相手ばかりと防衛戦を重ねて技術的には停滞、心理的にもマンネリに陥っていました。

そして、2年前からダニエル・ジェイコブス、カネロ・アルバレスと本物の強豪との手合わせで、その欠点を曝け出してしまいました。

弱い相手をKOすることで重ね着された魔法のガウンは、強豪相手にはオモリでしかありません。

この状況を打破する最善の一手は、トレーナーを変えることです。

 GGGが選んだのはバンクス。2014年12月に最後の試合を戦ったバンクスは、非常に勉強熱心でボクシングに精通してることで有名でした。

もちろん、それはエマヌエル・スチュワードがマンツーマンで叩き込んだものです。

自らの死期を悟ったスチュワードが、彼の最高傑作ウラジミール・クリチコをバンクスに託したのです。

伝説の名匠は、バンクスに最大級の評価を与えていました。

最近まで世界レベルのファイターとして戦い、ボクシングの知見とコーチングの能力にも長けている。晩年を迎えたGGGにとって、これ以上最適のトレーナーはいないでしょう。