今年の箱根駅伝、なかなか見応えのあるレースでした。

往路で青学大がまさかの4、5区連続でブレーキ。往路は東洋大が世界一美しいトロフィー、寄木細工の優勝カップを獲得。復路は青学が意地を見せたものの、東海大が見事総合優勝。

三校が「優勝」の栄冠に輝いたわけですが、往路がタイム差スタートの現行ルールでは復路優勝校だけが真っさらのゴールテープを切れません。

青学大は総合5連覇を逃した悔しさだけでなく、このパターンでの復路優勝ではいまいち盛り上がりませんね。

とはいえ、まさか復路を一斉スタートにしてしまうと、今度は総合優勝がわかりにくくなるし、見てる方もわけがわかりません。
考えてみると、往路も復路も優勝テープを切れない大学が総合優勝することも十分ありえますね。

で、今夜のお話はシューズです。

アスリートにとって、そのパフォーマンスを支えてくれるギアは大切な相棒です。



80年代までは、それぞれのスポーツでメーカーごとの完全な縄張りがありました。

野球のグローブ、バットはミズノが王様でゼットがそれに追いかけていました。

私は中学・高校時代はグラブはワールドウィン、バットはミズノの金属と(久保田)スラッガーの木製バットを使い分けていました。

ワールドウィンのグラブにはカップの刺繍が軟式は青、硬式は赤のビニール下地に刺繍されていて、中学時代は「早く赤のグラブで野球がしたいなあ」と毎日泥だらけになっていました。

陸上競技はニシスポーツという専門メーカーがありますが、スパイクとシューズはアシックスのほぼ独占状態でした。

ミズノやナイキもスパイクやシューズを発売していましたが、ランナーの間では完全マイナー。

ナイキはカール・ルイスが宣伝していた「エアペガサス」をアップシューズに使うランナーはいても、本練習・試合用はアシックスの「ソーティ」「ターサー」あたりが定番でした。

長距離では「陸王」のハリマヤで走るランナーも少数派ながらいましたね。

私はやっぱり変わり者で大学1年生時は、アディダスの「マラソン80」で走りました。

80年モスクワ五輪に合わせて発売したシューズで、それから5年以上経った当時では型落ちも型落ち、先輩から「ソールが劣化して硬くなってるからやめた方がいい」と忠告されましたが、その硬さも妙にフィットしてお気に入りでした。

型落ちで、安く出回っていたのも好んで履いた理由の一つですが。

そういえば、終盤に当時勃興していた山梨学院大学の集団にどどど〜っと抜かれて「なんだあの大学は?なんだ、あの集団走法は?」と驚いたのを思い出します。

しかし、2足持って大事に履いていた「マラソン80」もすぐに潰してしまい、もうどこの店を探しても置いてませんでした。

2年の予選会はアシックスの「アルティメイト」。このシューズも型落ちも型落ちだたんですが、アスファルトを叩くグリップ感が走りやすくて、関東インカレ2部20㎞と予選会を走りました。

3、4年時は周囲に流され?「ソーティ」で。自己ベストは更新できましたが、「マラソン80」「アルティメイト」との相性の良さは、ついに感じることはできませんでした。

そんな経験からも、箱根駅伝を観る時は選手の足元も見てしまうのですが、今年は異常でしたね。

出場230人中、なんと95人が同じシューズを履いていたそうです。

「ナイキ ズームヴェイパーフライ4%」。
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どう見てもアップシューズにしか見えない、この異形のギアが世界を席巻しています。

レースシューズは、時代によって流行り廃りを経てきました。

しかし、レースシューズの根本は変わりませんでした。

「軽いこと」と「薄いこと」。

同じことを言ってるようですが、違います。

「軽さ」は、当然走るときの負荷を減らすためです。

「薄さ」は軽さを追求した結果だけではありません。高下駄を履いていては、正確なバランスは維持できません。さらには、路面状況をより正確に把握するためです。

この二つを究極に追求すると、裸足が一番、となるのですが、さすがに硬くて小さな突起もある車道を走るロードレースで裸足は無理です。

そう考えると、 ローマ五輪でアスファルトやコンクリート、そして石畳のアッピア街道を裸足で走って優勝したアベベ・ビキラの偉大さがよくわかります。

そういえば「手袋はめてバットを握るヤツの気が知れない。自分から鈍感になってどうするんだ?」「真芯でボールを捉えたら手首に負担がかかったり、手がしびれるなんてことはない」「手袋はめるヤツは真芯で打つ自信がないから」と素手でバットを握っていた全盛期の落合博満はバッティンググローブを毛嫌いしていました。



ささっと書こうと思ったのに…続きます。 

落合博満 バッティングの理屈
落合 博満
ダイヤモンド社
2015-07-03