フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

【春近し】2019.3.21 気象庁が東京の開花宣言を発表しましたが、近所の公園のソメイヨシノはまだ蕾です。

自分に欠落している勇気のあるアスリートが大好きです。

勝手気ままに思いつくままに書き殴った駄文ですので、異論・反論あると思いますが、お気付きの点はご指摘下さい。

先週日曜日(現地時間は土曜日)に行われたメガファイトで、エロール・スペンスJr.がマイキー・ガルシアに完勝したことを受けてPFPがシャッフルされています。
リング誌ではスペンスが10位から5位に大躍進、マイキーは7位から9位に後退。

6位に付けていた井上尚弥は、スペンスに抜かれる形で7位にランクを下げてしまいました。

井上についてはWBSS優勝で三団体統一、PFPキングに迫ることも十分ありえますが、WBSS優勝の先輩で井上を上回る四団体を統一したオレクサンダー・ウシクが4位という現状を考えると、5位の壁は厚いかもしれません。

かつて山中慎介と内山高志の二人の日本人がこの脳内ランキングに入っていましたが、共に防衛戦に失敗して陥落、井上が約2年に渡り孤塁を守ってきました。

しかし、再び複数の日本人ボクサーがこのランキングを賑わせてくれることになりそうです。

Several Panelists noted that three-division titleholder Kosei Tanaka is knocking on the door of the top 10.

「何人かのパネリストが三階級制覇の田中恒成がトップ10のドアをノックしている(PFP入り目前)と指摘している」のです。

現在の9位はマイキー、10位がドニー・ニエテス。
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次戦の相手にもよりますが、もし恒成がモルティ・ムザラネを飲み込むとなると、この二人を抜いて井上に迫る8位に付けるかもしれません。

その前にトップ10ファイターの誰かが躓くようなことがあっても、PFPクラブに入会する可能性大です。

かつてはアジアや軽量級には敷居の高かったリング誌PFPでしたが、長谷川穂積や西岡利晃がそのドアを叩き、山中と内山がついにその扉をこじ開けてくれました。

そして、米国ボクシングの凋落と、それに伴う専門メディアの不振もまた、アジアや軽量級への注目度を相対的・劇的に引き上げています。

リング誌ジュニアフライ級王者の京口紘人や、ライバル王者の拳四朗もPFPのレーダーがその姿をはっきり捉えています。

PFPランキングに複数の日本人、という嬉しいニュースが近い将来耳にすることが出来るでしょう。

しかも「複数」の意味は、2人ではないかもしれません。
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平成とともにイチローが去っていきました。

バッティングでも世界最高の技術を確立した鈴木一朗が、スポーツ教本を著し、その理論を言葉にしてくれる日が訪れるとしたら、今から楽しみで仕方がありません。

ベンチを出てからウェイティングサークルへ。そしてバッターボックスに入り、初球を待つまで、イチローは独特の長いルーティンを守り続けました。

日本ではバットを持った右手を投手方向に伸ばしてヘッドを投手に向けていましたが「MLBではタブーの挑発行為にあたる」として、バットを立てるようにはなりましたが、それ以外のルーティンはほとんど変わることがありませんでした。

一方で、そのバッティングフォームはどんなに大きな成功を収めても毎年のようにモデルチェンジを繰り返してきました。

セーフティバントから意識して内野に転がす内野安打、そしてやはり狙って打つホームラン。

バッティングフォーム同様、その打撃のオプションは幅広く、周到に用意されていました。

今から25年前。

イチローが1994年に出現した翌年のオープン戦で、あの落合博満はまさかの振り子打法を試行したシーンには驚きました。

落合をもってしても、イチローは衝撃的な存在だったのです。

ここで紹介している「バッティングの理屈」で落合は「イチロー打法をまねしてはいけない」と5ページにも渡って警鐘を鳴らしています。

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落合はイチローの非常識を2点、挙げています。

①インパクトの瞬間は右足一本に体重を乗せ、右足の内側で回転して打っていること。

バッティングの常識は「体の中心線を動かさずに軸足で回転する」「いかに体をスウェーさせないで打つか」。

>逆足に体重を乗せるなんて、ありえません。そんなこと、今でも誰も教えるわけもありません。

「イチローは投手寄りに体をスウェーさせ、全体重を右足の乗せてボールを叩く。私の考えとはまったく違う、いやまったく正反対のスイングなのである」。

「イチローと何度か話をし、私のバッティング理論をぶつけてみた。意外というか当たり前というか、彼は私のバッテイング理論も完全に理解していたのだ。さらに、軸足の使い方に両足親指の付け根で立つ感覚などまで全く同じで、あのバッティングフォームが理にかなっていることをあらためて思い知らされた」。

「理にかなっているどころか、投手寄りにスウェーする打ち方はヘッドの出が良くなるという利点がある。ボールを左右に打ち分けるにも好都合で、左打者のイチローにとってはバッティングの途中にもかかわらず、一塁に向かって大きく重心をかけられる、事実上のスタートを切っているという利点まであるのだ」。


②ボール球を意識的に打っている。

「バッティングの常識は好球必打。ボール球に手を出さないこと」。

「ボール球はヒットになる確率が低いばかりか、打ちにいくとバッティングフォームを崩してしまう。このことに異を唱える人はいないだろう」。

「しかし、ヒットゾーンにボールを転がす、ボテボテのボールを打って俊足で内野安打を稼ぐという考え方を優先すると〝ストライク(打つべき球)になるボール球〟は確かに存在する」。

「これは、ホームランを求められる私のような打者には出来ないし、そもそもあらゆるボール球は手を出してはいけないのが常識で、打ってもいいボール球があるなんて普通なら思いもつかない発想だ」。

「イチローがボール球を打つのは、本人の中では悪球打ちではないし、ましてや選球眼が悪いのでもない。むしろ選球眼が優れているから、打てるボール球を一瞬で識別できるのだ」。

>イチローが言う審判のストライクボールを見極める「選球眼」ではなく、打てると感じると体が反応する「選球体」というやつですね。

「打撃理論は多様であり、正解はいくつもある。そう書いてきた私がイチローのまねをしてはいけないというのは何故か。イチローは私たちの思考よりももっと自由な発想で野球を考え抜いて、その理論を実践するために下半身を中心に必死に鍛え抜いて体に覚えさせた選手だからだ。自由な発想が出来て、その上で過酷な練習に向き合う覚悟がないのなら、絶対にまねしてはいけない」。

「もし、まねしても良いときが来るとしたら、彼が引退後にそのメカニズムを詳細に解説してはじめて、イチロー打法を少しずつ模倣していくことが可能になるのだ」。

>ESPNは全盛期のイチローのバットを「魔術の棒」と表現しましたが、種明かしされていない魔術を形だけ模倣することほど危険なことはありません。

イチローが著す〝バッティングの理屈〟は、やはり一般の野球人には理解できない常識外の魔術のままなのでしょうか?

それとも…そのメカニズムが誰にでも応用できる形でつまびらかにされるのでしょうか?

「まねをしてはいけないと書いたが、坪井智哉のように青山学院時代に振り子打法を取り入れ成功した打者もいる」。

「前述のようにイチロー打法は、理にかなっている。そのことは左打者にとって特に顕著で、この理を頭と体でわかった上で試行錯誤していくことには意味があるが、やはりほとんどすべての野球選手は、今の段階ではまねしてはいけない」。

「イチローや王貞治を天才の一言で片付ける人がいるが、私の考えはまったく違う」。

「王さんはタイミングの取り方に迷い悩み抜いた末に右足を大きく上げた。イチローは細くて軽い体でいかに強くボールを叩くかを追求して右足を振り子のように大きく振った。私も右肘が体の後ろに入り過ぎるという悪癖が治らないから、試行錯誤の末に両腕を体の前に出した」。

「天才ではないから、必死で考え抜いたのだ。そして誰も教えてくれないバッティングフォームを、誰よりも多くバットを振ることで体に覚えさせたのだ。王さんもイチローも、あのバッティングフォームは天才芸術家の名作なんかじゃない。野球に命をかけた二人が悪戦苦闘の末に辿り着いた、努力の産物なのだ」。

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イチローと落合。

左の万能型と、右のスラッガー。

全く対極に見えますが、そのバットに対するこだわりは共通していました。


「バットを短く持つのは意味がない。グリップからヘッド、バットの形とバランスには意味がある。わざわざ長いバットの途中を短く握るなら、最初から短いバットを作って正しくグリップの上を握るべき」。

落合の言葉を聞いたわけではないでしょうが、ヒットを打つためにあらゆる方法を駆使したにもかかわらずイチローもまた、バットを短く持つことはついにありませんでした。

私は追い込まれたら指一本短く持つようにしていました。

そのことがボールにバットを当てやすくすると理屈立てて理解してた訳ではありません。

確かに短くバットを持ったからといって、空振りのリスクが低減出来るわけがありません。

私が野球に情熱を注いでいた時代、落合は現役バリバリで「バッテイングの理屈」など影も形もありませんでした。

ましてや、イチローの理論など冗談でも思いつかない類の“異端の思想”でした。

あえて言い訳が許されるなら、バットを短く持つことで「コンパクトに振れる」「バットに当てやすい」と思える、心理的な効果は間違いなくありました。

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KOSEI TANAKA TARGETS THE RING 112-POUND TITLE, WOULD ‘LOVE TO FIGHT ABROAD’

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そのリングは、東京からTHE BULLET TRAIN(弾丸列車=新幹線のこと?)で90分、さらにローカル線に乗り換えて45分という会場に設営された。

挑戦者の田口良一とその陣営、そしてファンは岐阜メモリアルセンターまで電車を乗り継いで辿り着かなければならなかった。

WBAジュニアライト級(リング誌の記事では「ライト級」と誤解)内山高志というスターを育て、今もリング誌チャンピオン京口紘人を擁するワタナベジムに田口は所属している。

田中vs田口。

一歩も引かない日本人同士の戦いは年間最高試合の候補に上がる激闘になったが、内容的には王者の完勝。

相変わらずの才能と、そして進歩も見せた田中は「フライ級を統一したい」と次の目標を明らかにした。

現在、リング誌フライ級の王座は空位。

田口に勝利した田中は1位にジャンプアップ、2位はモルティ・ムザラネ。この二人が戦えば、文句無しのリング誌タイトルマッチとなる。

この試合は是非とも観てみたい。

直近の試合で坂本真宏を退け、5月13日には指名挑戦者・黒田雅之を迎えるムザラネは、日本人との対戦でキャリア最高の報酬を手に入れている。

田中との対戦は、名誉だけでなくカネの面でも願ってもないビッグチャンスだ。

田中も「黒田戦は注目している。ムザラネに勝ってリング誌王者になることは強烈なモチベーションになる」と、真の世界戦に意欲を見せている。

ムザラネのトレーナーで〝南アフリカの首領〟コリン・ネイサンは「パンチをもらいすぎる田中との試合はイージーなものになるだろう。もちろん、その前に我々は黒田に集中する」と、史上最短の三階級制覇王者の攻略に自信満々。

One stumbling block to getting this flyweight dream would be money.
軽量級屈指の夢の対決を邪魔する障害物は、ムザラネが要求するだろう高額の報酬だ。

坂本と黒田戦で連続してキャリアハイの報酬を得るムザラネが、それと同等の報酬で田中戦を飲むことはありえない。

また、WBCのベルトホルダー、チャーリー・エドワーズはエディ・ハーンの重要な駒で、ハーンが現時点で危険な橋を渡らせる可能性は低い。

田中とその陣営は、田中の世界的評価を上げることを最優先に考えている。

それは、田中が彼の城下町、岐阜や名古屋、中部地域を飛び出して戦うことを意味する。

井上尚弥との対戦は、両者が階級の〝入れ違い〟でジャストミートすることはないだろう。

可能性があるとしたら、井岡一翔か。

田中がフライ級でやり残した仕事がなくなり(リング誌王者になること)、井岡がジュニアバンタムでタイトルを獲得する….。

そのシチェーションが出来上がれば軽量級ではめったに拝めないPFPファイター同士の激突、田中にとっては史上最短の四階級制覇を狙うビッグファイトの輪郭が見えてくるはずだ。 
 
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